心霊スポット 怖い話 熊本県 阿蘇山

橋から宿までついてきた「足」だけの人

阿蘇山近くの橋の話です。

 

以前、「出るらしい」という噂を聞いたことがありますが、
はっきりした場所も名前も知りませんでした。

 

高校の宿泊研修で、阿蘇に行ったときのことです。

 

バスで宿に行く途中、深い谷川を跨ぐ、
とても長い橋を渡りました。

 

「阿蘇大橋」だったかと思います。

 

そのとき、なんだか足元から冷気のようなものを感じて、ゾッとしました。

 

でも、宿に着くと、大きな食堂でわいわいご飯を食べたり、
大浴場で温泉を楽しんだり、部屋で友だちとしゃべったり、
楽しいことばかりで、そんな気分はどこかに行ってしまいました。

 

消灯時間が近づいたころ、なんだか頭が重く寒気がして、
「風邪かな」と思い、「救護室」に充てられていた、
保健の先生の部屋にいきました。

 

部屋は二間続きで、先生は奥の部屋にいました。

 

入っていって熱を計ってもらったりして、ふと間の襖を見ると、
私がちゃんと閉めなくて15センチほど開いていたところを、
ズボンをはいた足がすっと横切りました。

 

具合の悪い生徒なら、襖の向こうを横切るのではなく、
こっちの部屋に入ってくるはずです。

 

それに、廊下から入ってくるドアを開閉する音もしませんでした。

 

「先生、今誰か」
と立っていって襖をもっと開けましたが……隣の部屋には誰もいませんでした。

 

「どうかした?」と先生に訊かれましたが、
私は「勘違いみたい」とごまかしました。

 

言えば、よけい怖くなりそうで。

 

私たちは全員えんじ色のジャージを着ていましたが、
その足は、工事の人のはくような、灰色の作業着だったのです。

 

橋の工事で命を落とした人だったのでしょうか……。